企業からの求人は、案件毎に求められる能力が異なります。
自分が応募する求人については、自分は求められる能力を持っている、ということを職務経歴書や面接で的確に表現しなければなりません。
それの成否により、採用されるか否かが決まります。
それを踏まえ、希望の案件に対して対策を実施するためには、以下の手順で、企業の求める人物像と自分をマッチさせる必要があります。
それを比較した結果、差異が全く無ければ合格しますし、許容範囲を超えた差異があるとみなされたら、残念ながら不合格となります。
1.企業の求人情報の詳細を入手
以下の手順で情報を入手しましょう。
①企業サイトからの情報収集
気になる求人を出している企業があれば、まずは企業のサイトにアクセスして必要な情報を入手しましょう。
一般的な企業サイトでは、
- 会社概要
- 事業紹介
- 経営方針(ビジョン)
- 沿革
- ニュースリリース
- 社長のメッセージ
- 社員の声
などがありますので、それらには必ず目を通しましょう。
企業の特徴を現すキーワードについては、しっかり憶えておきましょう。
また、上場企業であれば、IR情報も掲載されておりますので、最低でも、そこにアップされている直近の決算短信は確認しましょう。
経理経験者でなければ、貸借対照表、損益計算書などを読み解くのは、難しいと思いますが、経営状況、経営方針、に関する記載もありますので、それらには必ず目を通しましょう。
その企業の経営に関わる有益な情報が詰まっています。
②転職サイト・転職エージェントからの情報収集
転職サイトであれば、そのサイトに求人情報が記載されておりますし、転職エージェントを通じての紹介であれば、同様な情報をメールでもらっているはずですので、それらにはしっかり目を通しましょう。
さらに、転職エージェントであれば担当者からもっと詳細な話を聞くことも可能です。
詳細は、転職エージェントからは、9つの求人・企業情報を聞きだそう、を参照して、確認ポイントを理解しておいてください。
2.企業の求めている人材の整理
以下の手順で入手した情報を整理しましょう。
①必要な実務知識
これは、1.の②で入手した求人内容に必ず記載があります。
また、転職エージェントを通じて転職であれば、担当者から詳細の確認は可能です。
②解決を求められている直近の課題
これも、1.の②で入手した求人内容に記載されている場合があります。
また、求人内容に記載がなくても、企業サイトの中に記載されている企業の課題のうち、求人に関わるものもありますので、関係しそうな課題についてはチェックしておきましょう。
③必要なマネジメント能力
これも、1.の②で入手した求人内容に記載があります。
ハイクラスの求人の場合は、ほとんどが部下を抱えるポジションになるため、過去に何人の部下をマネジメントしたか、確認されるケースが多いです。
④必要なプロジェクト運営能力
IT関連の求人をはじめとして、ラインの上長としてのマネジメントだけでなく、プロジェクトをマネジメントしてきた経験を問われることがあります。
どの程度の規模(メンバー・案件の予算)のプロジェクトを経験しているか、確認されるケースが多いです。
⑤企業風土・企業ステージ
これは求人内容に記載されることは少なく、また、あっても内容は薄いので、必ず1.の①で記載した企業サイト等で確認を行ってください。
また、上記の補足として、「転職会議」「カイシャの評判」「Vorkers」などの企業口コミサイトでも企業風土等は確認できますので、活用してみてください。
企業のステージで言えば、創業期、成長期、安定期、がありますが、そのステージにより、経営課題の優先順位が変わりますので、それらの考え方を理解しているか否かで、企業側は適合性を見ることがあります。
3.自分の強みの整理
①実務経験の詳細(具体的な成果)
これは基本的に職務経歴書に記載されている内容が基本になります。
ただ、どういう実務をしただけかを簡潔に淡々と記載している場合、それらの実務によりどんな成果が出たか、数字も入れて具体的な記載も追記するようにしてください。
最終的に、応募する企業があまり求めていない職務経歴については、経歴自体の削除や簡潔な表現に変える、という手直しはありえます。
②マネジメント経験
過去にどんな役割(部長・課長等)で、何人の部下をマネジメントしたか、です。
求人の必須要件にあるにも関わらず経験がない場合は不利になりますが、後輩の指導実績などがあれば代替の経験としてPRすることを検討しましょう。
③プロジェクト経験
どの程度の規模(メンバー・案件の予算)のプロジェクトを経験しているか、問われます。
求人の必須要件にあるにも関わらず経験がない場合は、複数人で実施した業務を代替の経験としてPRしましょう。
④経験した企業風土・企業ステージ
過去にどうしても馴染めなかった企業風土があれば、どんな風土であったかをもう一度確認しておいてください。
また、今まで経験してきた企業が、創業期、成長期、安定期、いずれであったかの確認もしておきましょう。
4.企業の求人情報と自分の強みのマッチング
上記2.3.を比較して、この求人が自分にマッチしているのか、客観的に確認してみましょう。
ポイントは、
①私は必要な実務知識を有しているのか?
②私はその企業の抱える直近の課題を解決できるのか?
③私はその企業に求められているマネジメント能力を有しているのか?
④私はその企業に求められているプロジェクト運営能力を有しているのか?
⑤私はその企業風土・企業ステージで円滑なコミュニケーションを取れるのか?
です。
そして、それらを総合的に判断し、
- その仕事は、あなたが本当にやりたい仕事なのか?
- その企業に対して、あなたは貢献できるのか?
を確認しましょう。
両方ともYESであれば、応募手続きを進めましょう。
一方だけでもNOがある場合は、応募を諦める判断も必要になります。
5.職務経歴書の見直し、面接対策の実施
今回応募する求人が求めている実務経験、課題解決能力、マネジメント能力、などについて、あなたがちゃんと備えていることを的確にPRするための準備をします。
あなたに様々な経験があったとしても、企業が求めている以外の経験は、あまり重要ではありません。
一方、求人の必須要件に関わる職務経歴については、実務の具体例も記載し、面接時も時間をかけて説明しましょう。
経歴はメリハリを付けて表現することが必要なのです。
そういうことを行えば、同時期に応募した求人についても、提出する職務経歴書の内容に差異が発生します。
個別の求人に対して個別の対策を行う、ということは、そういうことであることを理解してください。
冒頭にも記載しました通り、企業の求める人物像と自分が一致していることを伝えるための努力は惜しんではいけません。